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按摩やマッサージ、その他の手技療法について

スロウは按摩・マッサージの専門店なのですが、お客様から「按摩って何?」、「按摩とマッサージは違うの?」、「マッサージと整体はどう違うの?」といったご質問をよくうけますので、按摩とマッサージ、指圧、整体、整骨の違いについてちょっとだけご説明させていただきたいと思います。


その壱. 「按摩」とは?

按摩」は、もともと中国で体系化された手技療法で、約二千年前の中国の医学書「黄帝内経」に按摩の文字が記されています。
日本に伝わった時期は諸説ありますが、大宝律令に按摩に関する官制度が記載されているので、1300年ほど前ではないかと考えられています。

江戸時代には、日本的な按摩が確立しましたが、鍼灸の台頭とともに慰安としての要素が強くなり、明治以降は西洋渡来のマッサージの影響もあり、現在、一般的には「マッサージ」として認知されています。
また、江戸時代には盲目の鍼医、杉山和一を祖とする杉山流按摩術が世界初の視覚障害者教育として伝えられたことにより、按摩の施術を職業とする目の不自由な方を「あん摩」または「あんまさん」と呼ぶようになります。

按摩の特徴としては、指や手を使って「揉む」という手技が主体となり、基本的に衣服の上から日本手ぬぐいをかけて心臓に近い方から遠い方に向かって施術します。
また東洋医学を拠り所とし、本来は経絡に沿って施術するものですが、現在はマッサージ的に筋肉や関節に対する施術を行うのが主流となっています。

健常者が多く従事するようになった現在でも、「あん摩」や「あんまさん」といった言葉については視覚障害者に対する蔑称と受け取られる向きもあり、テレビやラジオでは未だに放送問題用語とされているため、治療院の看板や広告等においても、マッサージと表示されるケースが多いようです。


その弐. マッサージとは?

マッサージ」の起源は、ギリシャの医聖ヒポクラテスが提唱したのがはじめだといわれています。

日本には明治20年代にフランスで体系化されたものが導入され、現在は、按摩や他の手技と融合することで、民間医療や気軽なリラクゼーションとして普及しています。

本来の西洋式マッサージは皮膚に直接触れて行うもので、手が滑るようにオイルなどを使い、心臓より遠い方から近い方に向かって軽く圧を加えて撫で擦るように施術します。
また西洋医学を拠り所とし、筋肉やリンパに対する施術が主となります。

現在の日本では、オイルリンパマッサージやアロマセラピーなどが本来の西洋式マッサージに近いものということになります。
ただし東南アジア系のマッサージについては着衣の上から施術するものもあります。

一般的にマッサージは、揉む、押す、叩く、撫で擦るなどの刺激を与える手技療法全般の総称という解釈なっています。


その参. 指圧とは?

指圧」は江戸時代から民間施術としておこなわれていましたが、現在の指圧の原型は浪越徳治郎氏によって確立されていたといわれています。

昭和30年の法改正時に法律上で認められましたが、この時に指圧があくまで按摩の範疇に入っていたため、「指圧は按摩に非ず」と、指圧師団体が立ち上げられ独立した手技として指圧院を開かれてる場合もあります。
浪越氏の指圧学院は国内外で活躍する多くの卒業生を輩出し、海外ではSHIATSUがポピュラーであるため、按摩も指圧と混同されている向きもあります。


※ 按摩やマッサージ、指圧を職業として行うには「あん摩マッサージ指圧師免許」または、医師免許が必要になります。


その四.整体とは?

整体」は、野口晴哉氏が古今東西の療術を統合し体系化して創始した治療法の名称といわれています。

施術の特徴としては、脊椎(背骨)や骨盤や四肢(手足)などの骨格や関節の歪みの矯正と骨格筋の調整などを手で行うものが主流のようですが、伝統中国医学や古武道の手技、カイロプラクティックやオステオパシーの手技、按摩やマッサージ的な手技、脳科学に基づいた揺らし療法などもあり、その手技は多岐にわたります。

野口氏の定義する整体は現在のような施術を受けるタイプの療術ではなく、自分自身で体調を整えられるように指導する体育理論だったそうです。

※ 整体については様々な流派・会派があり定義が難しい療術ですので、上記はあくまで個人的な見解となりますことをご了承ください。


その五.整骨院(接骨院・ほねつぎ)とは?

整骨院」とは、柔道整復師が、打撲・捻挫・挫傷や脱臼・骨折といったケガ(急性又は亜急性の外傷)を治療する施術所で、健康保険が適用されますが、肩こりや疲労性腰痛といった慢性症状への施術、慰安的なマッサージについては保険適用外となっています。

当店にも保険は使えますか?とのお問い合わせも増えておりますが、本来は整骨院も肩こりや慢性腰痛などのマッサージには保険は使えません。前述のようにケガの治療の場合のみ、保険適用となりますので、保険が使われてるという場合には、カルテ上は捻挫や打撲、挫傷といったケガに置き換えられています。

多くの整骨院でわりと普通に行われている事ですので、あまり不正という感じはしませんが、医療財政が逼迫している現状では、あまり良いことではありませんね。


では、按摩やマッサージや手技療法をまとめてみます!

ちょっと長くなりましたが、現在のマッサージ的な手技療法は大きく二つに分けられます。

1.免許を必要とする按摩、マッサージ、指圧や柔道整復術(整骨・接骨)などの国家資格の療術

2.免許を必要としない整体やカイロプラクティック、リンパマッサージ、アロマセラピー、リフレクソロジー、海外のマッサージ(タイ式、バリ式、台湾式、スウェーデン式、アーユルベーダ、ロミロミ、推拿など)といった民間資格の療術

免許を必要としない療術には、業団体や企業による独自の認定資格などがあり、海外のマッサージも海外の公的資格をお持ちの方もいらっしゃいますが、特に資格を持っていなくても問題はありません。

日本では「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」の関係で、本来は免許取得者以外は按摩やマッサージという名称を使えないことになっています。そのためマッサージ的な施術をやもみほぐしボディケアリラクゼーション整体として提供しているお店も増えています。

現在は、既成事実として様々なマッサージ的療術やサービスが溢れていますし、整体などの療術にもマッサージ的な施術を含むことも、もはや社会通念となってきています。ここ最近は異業種からの参入による過当競争のため、モラルの低下が目立つようになり、「リラクゼーションマッサージ」などのように、一見するとマッサージ師の施術であるかのような誤認を誘うネーミングをする業者も増えてきています。

※ 全国チェーンを展開しているような業者さんは、マッサージという言葉を使わないよう配慮して、スタッフさんにも指導されているようです。

現在は手技療法全般の総称としての広い意味でのマッサージが一般的になり、按摩もいつの間にかそこに括られてしまうようになりました。
しかし、そのマッサージ的な施術、すなわち、もみほぐしやボディケア、リラクゼーションや整体として提供されている中にも按摩といえる施術をされているところが多いこともあり、按摩を知らない方でも、実はいろんなところでほぼ按摩的な施術を受けられてるということになります。

なんだか、ちょっとややこしくなってしまいましたが、「按摩」は日本の伝統的なマッサージであり、現在のスタンダードとなっている揉みほぐすマッサージのルーツということになります。


最後に・・・スロウは何故「按摩」にこだわってるのか?

この日本の風土で独自に育まれた伝統の技も、最近では広義の「マッサージ」という名称で括られてしまい、「按摩」の名称はほとんど使われなくなってきたように感じます。

江戸の昔より人々の生活に溶け込んでいた「按摩」
いたわりの心をもって、疲れや辛さを癒してくれる「按摩」

その按摩の心地良さをこの店を通じていろんな方に見直していただけたら・・・
そんな想いからスロウをご利用いただいたお客様にはマッサージではなく、あえて「按摩」としてお伝えしています。

私の父も目が不自由だったために按摩をやっていました。
子供の頃はよく杖がわりとなって父の按摩について行ってました。
治療という感じではなく、お客さんとのんびりお喋りなどしながらじっくり揉みほぐしていく。
今になって思うのは、按摩は娯楽であり、癒しだったなぁと・・・

私は、そんな按摩が大好きですし、誇りをもって仕事をしています!

この長い歴史を持つ日本伝統の慰安の技が、また日常の暮らしの中にとけこんで、健康の一助として皆様に喜んでいただけるよう邁進していこうと思います。

古いやつではありますが、これからも「按摩」を宜しくお願いします。


                   按摩屋「素浪」 按摩師・品川 広昭